便失禁(切迫性失禁)の細胞治療薬
ICEF15
便失禁は成人(20 歳以上)のおよそ 10 % に発生している疾患です。便失禁は肛門括約筋が傷ついたり弱ったりすることで起こります。こうした損傷は出産時に発生することも多く、そのため便失禁は男性より女性で、患者さんが多い傾向にあります。
医学的には、切迫性失禁と漏出性失禁を区別します。切迫性失禁では、外肛門括約筋すなわち横紋筋の障害が原因となって発生することが多くあります。この疾患では、突然の強い便意を感じるものの、トイレまで我慢できずに漏れてしまいます。現在の治療法には、食生活の改善などの行動療法があり、この治療で効果が見られない場合、バイオフィードバックなどの療法に移り、それでも効果がみられなければ、下痢止め剤ロペラミド等の薬剤により治療を行います。こうした治療でも十分に効能がみられなければ、電気刺激装置や人工肛門括約筋等の侵撃的な治療を行うことになります。しかし、これらの治療では様々な併存疾患を起こすこともあります。あらゆる治療法を試しても改善が見られない場合には、必要に応じて人工肛門形成を行います。これは人為的に直腸の出口を腹壁に形成する外科手術です。こうした治療では満足のいく治療効果が得られ無いことも多く、効果的で確実な治療法の需要は非常に高いです。
2006 年以来、Innovacell は切迫性失禁に特化した治療薬 ICEF15 の開発に取り組んできました。従来の治療法とは異なり、ICEF15 による治療は、患者さまご自身の骨格筋細胞を培養し、患者さまご本人の肛門括約筋に注入することにより、損傷した外肛門括約筋の機能を取り戻すことで改善を目指します。
ICEF15 の フェーズ I/II 臨床試験は、数多く実施され、その結果はかなり有望です。日本では、「条件及び期限付承認」制度を利用し、継続して臨床試験を実施後、2023 年の認可を目指しています。欧州フェーズ III 臨床試験は現在実施準備中です。EU での ICEF15 の認可は、2024 年を予定しており、次に、米国の 2026 年が続く予定です。今日までに、欧州 8 ヵ国、19 のクリニックから治験結果が集まっているところです。
ステータス ICEF15
前臨床
臨床
承認
ステータス
前臨床
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